犬の甲状腺機能低下症とはどういう病気なの?

SONY DSC

犬が中高齢となり、「最近元気がなくなった」「脱毛がある」「食事は変えていないのに肥満になった」「寒くないのに寒がっている」などと感じたら、それは犬の甲状腺機能低下症かもしれません。

犬の甲状腺機能低下症とは、どのような病気なのでしょうか。

1.犬の甲状腺機能低下症とは

SONY DSC

甲状腺(喉のところにある器官)は甲状腺ホルモンを分泌する内分泌官で、体の代謝を活発にするホルモンが甲状腺ホルモンです。

この機能が低下することによって、甲状腺機能低下症を発症します。

また反対に、この機能が強くなることによって甲状腺機能亢進症を発症します。

甲状腺機能亢進症は猫に多く発症する病気で、犬に発症するのは1~2%ほどと稀な病気です。

甲状腺機機能低下症は、圧倒的に犬に多い発症というのが特徴です。

2.犬の甲状腺機能低下症の原因

SONY DSC

甲状腺機能低下症は、甲状腺から甲状腺ホルモンの分泌が少なくなる・出なくなるために起こります。

原因と考えられること

・自己免疫疾患

体内に入ってきた異物を排除するための免疫系が、自分の体の一部である甲状腺を攻撃してしまうことによって炎症を起こし、機能が低下してしまうことがあります。

・甲状腺の萎縮

原因は不明ですが、甲状腺が萎縮してしまいホルモンの作用が低下してしまうことがあります。

・クッシング症候群の影響

副腎皮質ホルモンの異常で起こるクッシング症候群と50%の確率で、併発する形で発症することがあります。

クッシング症候群はこちらを参考にしてください。

3.犬の甲状腺機能低下症の症状

甲状腺ホルモンは、体の代謝を活発化するホルモンのため不足すると、あらゆる機能の活動が鈍くなるため、全身にさまざまな症状があらわれます。

主な症状

・ぼんやりして元気がない

・食事の量は変えていないのに体重が増える(肥満)

・寒がる(低体温)

・皮膚が乾燥する

・左右対称に痒みのない脱毛や尾の脱毛がある

・皮膚の色素沈着

・嗜眠(しみん)

・徐脈

・細菌感染(膿皮症など)の皮膚炎が治らない

重症化

・悲劇的顔貌(顔のむくみ)進むと粘液水腫性昏睡

・前庭障害(首を片側に傾ける・クルクル回るなど)

・発作

*嗜眠(しみん): 睡眠を続け、強い刺激を与えないと目覚めて反応しない

*粘液水腫性昏睡 : 甲状腺機能低下症を、飼い主さんが兆候に気が付かないまま放置した場合に、粘液水腫性昏睡という重症になります。

粘液水腫とは、体内における水分代謝が低下することで、ムコ多糖類が顔に蓄積し皮膚がブヨブヨになった状態のことです。

粘液水腫性昏睡になると、治療開始から12~24時間でほとんど死亡するといわれるので、絶対に避けたい病状です。

4.犬の甲状腺機能低下症の治療

犬の甲状腺機能低下症は、血液検査で甲状腺ホルモンの値(T4もしくはfT4)が低下していることで診断されます。

T4:血中サイロキシン

fT4:遊離サイロキシン

・投薬治療

甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモン薬剤(レポチロキシン)を投与することで補います。

ただし量を間違えると、甲状腺機能亢進症の症状が現れてしまうため、数カ月おきに定期的血液検査をし投薬量のコントロールをします。

一度発症してしまうと生涯投与する必要がありますが、適切な量のホルモン投与し続ければ予後は良い状態が続き、寿命を全うできることが多いです。

・基礎疾患の治療

クッシング症候群などの別の疾患によって、甲状腺機能低下症が引き起こされている場合は、基礎疾患への治療が施されます。

5.まとめ

甲状腺機能低下症は、必ず特定の症状が現れるわけではなく、全身でさまざまな症状が起こります。

自然治癒することはないので、少しおかしいと思うことがあれば、できるだけ早く獣医師に診てもらい適切な治療をスタートさせることが大切です。

Follow してね

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です