夏に多いと思っていた食中毒、実は秋が一番多いのはなぜなんでしょう

 

夏は暑いし食中毒に気を付けますが、過ごしやすくなり「食欲の秋」といわれる9月~11月が1年を通して最も多くの食中毒が発生します。

でも最も多いのが夏ではなく、なぜ秋なのでしょうか。

 

 

1.食中毒とは

 

 

 

食中毒とは、なんらかの有毒・有害物質が食品の中に入っていて、それを飲食し急性障害(胃腸炎など)を引き起こす疾患です。

年間で700~1400件(農林水産省より)報告されています。

一般的な症状としては、発熱・腹痛・下痢・嘔吐などの消化器系の症状が多く、重症な場合には脱水症状なり心・腎機能などの重篤な合併症をひき起こすことがあります。

 

農林水産省より

2.食中毒の原因

 


食中毒は湿度の高い梅雨時、気温の高い夏のイメージがあります。

もちろん1年を通してどの時期でも食中毒はありますが、秋に増えやすいのはなぜなんでしょうか。

 

・夏の暑さ・残暑で夏バテが長引き免疫力・体力が戻っていない

・運動会やバーベキュー・お祭りなどの野外イベントが多くなり、お弁当や加熱不足な食材・衛生管理が不十分な食材を食べてしまう。

・キノコや山菜を取って自然毒や魚類の寄生虫を食べてしまう

 

食中毒を引き起こす原因

「細菌」「自然毒・寄生虫」「ウイルス」と大きく分けられます。

3.食中毒を引き起こす細菌・ウイルス・毒

 

 

サルモネラ菌

・卵・肉類・猫・犬・鳥・爬虫類など、さまざまな動物の体内に生息しています。

・サルモネラ菌は、高湿や35℃~43℃の温度で活発に増殖します。

・−7℃では発育できず、しかし死滅することはないので、食中毒予防としては「よく加熱する」ことです。

 

黄色ブドウ球菌

・肉類に限らず、私たち人間の体にも生息しています。

・私たちの鼻腔、咽頭、腸管や傷口にも生息しており、食品の上でも増殖します。

・毒素は耐熱性が高く、一度毒素を作ると通常の加熱では分解されません。

・傷やニキビなどを触った手で食べ物に触ると菌が付くため、おにぎりや自家製の漬物など菌が付いた手で触れてしまうものには注意が必要です。

 

腸炎ビブリオ菌

・海水などに分布している好塩性細菌で、生の魚介類が原因です。

・塩分1%~8%で増殖しますが、真水には弱い特徴があります。

・10℃以下では発育せず熱にも弱いため、よく洗い菌を洗い流すこと・加熱することが予防となります。

 

カンピロバクター

・肉類(特に鶏肉)・飲料水・生野菜が原因です。

・十分に火が通ってない鶏肉、十分に洗っていない野菜、井戸水や湧き水などは注意が必要です。

・乾燥に弱く、加熱すれば菌は死滅します。

食中毒の発生件数が一番多く、「ギランバレー症候群」という手足の麻痺や呼吸困難を引き起こさせることもあります。

*「ギランバレー症候群」とは

自分を守る免疫に異常が起こり、自分の末梢神経を攻撃(自己免疫)することで急速に手足の感覚がおかしくなり、力が入らなくなります。

発症から数日で症状が悪化し、寝たきりや息がしにくくなり人工呼吸器が必要になる場合もあります。

症状は1カ月以内がピークで、その後は改善されますが10%~20%の方が後遺症に苦しんでいます。

 

腸管出血性大腸菌

・肉類やよく洗っていない野菜などが原因です。

・O-157やO-111が有名です。

・十分な加熱で防げます。

・集団中毒で知られているO-157は腸管出血性大腸菌と呼ばれ、症状がひどいと重い後遺症や命にかかわることがあります。

 

ウェルシュ菌

・肉類に発生することが多く、加熱しても死滅しません。

・酸素を嫌い、カレーやスープなどの煮込み料理を温かいまま置いておくと菌が増えていきます。

・大鍋で作った料理を数時間置いた後に食べるなどせず、調理したものはすぐに食べる・すぐに冷やして(10℃以下)小分けして保存しましょう。

 

ノロウイルス

・カキ・アサリ・シジミなど二枚貝を生や十分に加熱していないで食べる、ウイルスに汚染された水道水や井戸水を飲んで感染します。

・熱に弱く85℃以上で1分間加熱をする、またノロウイルスに感染している人の嘔吐物などからも感染するので、石鹼などでよく手を洗いましょう。

 

アニサキス(寄生虫)

・サバ・アジ・サンマ・イワシ・カツオ・サケ・イカなどの魚介類に寄生しています。

・アニサキスの幼虫は、長さ2~3cm・幅1mmくらいの白い糸のように見えます。

・70℃以上の熱(60℃ならば1分加熱)で加熱するか、-20℃で24時間冷凍することで死滅します。

 

自然毒

・キノコ・山菜の中には毒をもっているものがあります。

・ジャカイモの芽、または芽を取っても毒素が広がっている表面が黄緑~緑色のものを食べると中毒を起こします。

・フグ毒は毒素の中でも非常に強いので、必ず免許を持っている方に調理をしてもらいましょう。

4.まとめ

 

 

食中毒を起こさないため、しっかりと手を洗い・肉や魚はしっかりと火を通す・早めに食べる・はやめに保存をし食べるときはしっかり加熱をするなどして「食欲の秋」を楽しみましょう。

食中毒になってしまったら、自己判断はせずに早めに病院で診てもらいましょう。

症状がひどい場合は、ためらわずに救急車を呼び重症化しないように注意が必要です。

 

 

 

 

 

 

 

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