愛犬の毛が抜けるのは生理的なもの?病的なもの?
愛犬の毛が薄くなってきている、または気が付いたら毛が薄い(無い)とういうことがある飼い主さんもいると思います。
犬には、生理的な「換毛」と病的な「脱毛症」があります。
換毛による「脱毛」と、病気の「脱毛」は見分けがつくものなのでしょうか。
目次
1.犬の換毛期とは
全身が毛で覆われている犬は、被毛の寿命や何らかの刺激などで一年中毛が抜けます。
また、ダブルコートの犬種は春と秋に換毛期を迎え、秋には寒さに備えてアンダーコートが厚くなり、春にはアンダーコートが抜け落ちます。
皮膚病の予防にもなるために、週に数回ブラッシングをして余分な毛を取り除いてあげましょう。
*換毛期のないシングルコートの犬種、プードル・ヨークシャテリア・マルチーズ・イタリアングレーハンド・ミニュチュアピンシャーなど
パピヨンにはダブルコートとシングルコートの個体が存在します。
2.犬の脱毛症
換毛期の抜け毛は全身の毛が平均的に抜けますが、部分的に抜ける量が多い・左右非対称に抜ける・皮膚が丸見えになるほど抜けるなどは、脱毛症の可能性が高いといえるでしょう。
主な体の毛が少なる状態
・犬自身が自分で舐めることにより、毛が折れて抜ける
・犬自身が自分で舐めていないが、毛が抜けていく
・犬自身が自分で舐めていないが、一度抜けると新しい毛が生えない
脱毛症には痛みを伴いもの、痛みを伴わないものがあります。
3.犬の主な脱毛症の種類(痛みを伴うもの)
膿皮症
もともと一定数存在している常在菌が、何らかの原因でバランスが崩れて増殖してしまうことで起こります。
膿皮症については参考にしてください。
こちらの膿皮症も参考にしてください。
マラセチア皮膚炎
もともと一定数存在している常在菌のマラセチアが、増殖してしまうことで起こります。
マラセチア皮膚炎を参考にしてください
毛包虫症(ニキビダニ症)
もともと一定数存在している常在菌の毛穴に寄生している毛包虫が、増殖してしまうことで起こります。
毛包虫症を参考にしてください。
皮膚糸状菌症
糸状菌という真菌(カビ)に感染して症状を起こします。
皮膚糸状菌は、皮膚の角質層で増殖しながら毛穴の中に入り、毛自体を侵すことで脱毛します。
感染し脱毛が起こった場所を中心に、真菌の増殖が円状に進むことが多く、円形脱毛症が現れます。
まれに、人にも感染することがあるので注意が必要です。
疥癬(ヒゼンダニ症)
疥癬虫:ヒゼンダニが皮膚に寄生し、強い痒みを生じます。
疥癬を参考にしてください。
皮膚植物有害反応(食物アレルギー)
アレルゲンによって過剰反応を起こし、炎症反応を生じます。
食物アレルギーを参考にしてください。
犬アトピー性皮膚炎
何らかの刺激に体が過剰反応をし、皮膚が痒くなります。
犬アトピー性皮膚炎を参考にしてください。
4.犬の主な脱毛症の種類(痛みを伴わないもの)
甲状腺機能低下症
甲状腺から甲状腺ホルモンの分泌が少なくなる・出なくなる病気です。
甲状腺を参考にしてください。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
副腎からホルモンが過剰に分泌される病気です。
クッシング病を参考にしてください。
性ホルモン失調症
未去勢・未避妊の犬に発症し、男性ホルモンや女性ホルモンの過剰分泌が原因となります。
首・太もも・耳・腰・腹部などに脱毛がみられます。
アロペシアX(毛周期停止)
1~3歳の虚勢をしていないオスの多く見られ、毛の生え変わりが止まってしまうことで発症します。
原因は不明ですが、特定の犬種に発症が多いことから遺伝子的背景があり、毛周期の異常ではないかと考えられます。
以前はポメラニアンに多くみられましたが、現在ではポメラニアン・シベリアンハスキー・アラスカンマラミュート・トイプードル・パピヨンなどにも発生しています。
脱毛は美容上(見た目)の問題であり、犬の健康状態には影響しないと考えられています。
パターン脱毛症
現在では原因は不明ですが、一般では生後半年~1年ほどで発症するといわれます。
パターン脱毛症は左右対称で好発部位は、耳・首・腹部・尾部をいわれます。
淡色被毛脱毛症
遺伝性の脱毛で、グレー・シルバー・ブルーなどと淡いカラーの被毛の犬種に発症する脱毛です。
正確には脱毛というより、毛が折れやすく毛が生え変わっても外からの摩擦や軽い刺激で、簡単に毛が折れてしまうため抜けているように見えます。
黒色被毛形成異常症
体の被毛が二色以上ある犬種(ブラック・タンなど)で、黒色の被毛が薄くなるまたは脱毛します。
正確には毛が折れやすいので、生え変わっても新しい毛が折れてしまい脱毛しているように見えます。
その他の脱毛症
・血行不良、虚血
・心因性脱毛症
・栄養不良、妊娠、授乳期など
犬の心の病気も参考にしてください。
5.まとめ
犬の脱毛といってもさまざまな要因があります。
まずは換毛期なのか、病気によるものなのかを知る必要があります。
換毛期の場合は、皮膚病予防も兼ねてこまめにブラッシングをしてあげましょう。
また、病気によるものならいち早く要因を知るために獣医師に相談をしましょう。
皮膚への負担を減らすためにも、私たちは根気強く接していきましょう。