犬のてんかん発作の症状と対策

 

 

人間でも起こる「てんかん」は、犬猫にも起こります。

発作的に起こる「てんかん」とは、どのような病気なのでしょうか。

 

 

 

1.犬のてんかんとは

 

 

てんかんとは、脳障害です。

脳の構造そのものは正常ですが、脳に異常な電気信号の伝達が起きてしまい、「てんかん発作」が繰り返される脳の病気です。

てんかんは大きく2つに分けられ、「特発性(とくはつせい)「症候性(しょうこうせい)があります。

・特発性

脳に病変はなく、検査上で異常がみられない

・症候性

脳腫瘍や脳炎・奇形など、脳に病変がある

(検査をして、脳炎・脳腫瘍・水頭症・門脈シャントなどを見分けます)

 

てんかん発作は激しい脳波の乱れによって、部分的で小さな発作から全身痙攣をさせる大きな発作までさまざまで、発作間隔もまちまちです。

初めて「てんかん発作」を目のあたりにすると、「このまま死んでしまうのでは・・・」とその様子に心配しますが、通常の「てんかん発作」は2~3分、長くて5分で自然に治まり、愛犬は何事もなかったようにいつもの愛犬に戻っています。

 

*てんかん発作が24時間以上の間隔をあけて、少なくとも2回以上起こることが「てんかん」といいます。

2.犬のてんかんの症状

 

 

 

犬のてんかんの症状は、主に3つに分けられます。

前兆となる発作

前兆発作は、飼い主さんも気づくことが出来ないことが多いといわれます。

犬自身も違和感があるくらいで、その症状に飼い主さんが気づいても「てんかん」とは思えず、てんかん以外の要因である可能性もあります。

・一時的にボーっとする

・目の焦点が定まらない

・落ち着きがなく不安そう

・意識消失など

前兆発作は、大半が焦点発作そのものといわれます。

 

焦点発作(部分発作)

焦点発作は、脳の一部の電気的興奮によって引き起こされる発作で、脳のどこで興奮が起きたかによって症状が違います。

・口をくちゃくちゃさせる

・手足や顔面等の一部の筋肉に痙攣を起こす

・落ち着きがない

・自分の尾を追いかけるように同じところでクルクル回る

・床を舐める

・遠吠えのように鳴く

・よだれが出る

・無意識に瞳孔が開く

・名前を呼んでも反応がない など

 

全般発作(全身発作)

発作が起きると一時的に意識がなくなることがありますが、通常は数秒~数分で治まり、その後は何事もなかったように過ごします。

・全身性の痙攣

・強直発作(きょうちょくほっさ):全身の筋肉を突っ張る発作

・間代発作(かんだいほっさ):ガクガクと手足などを震わせるような発作

・強直間代発作:強直と間代が同時に起こる発作

・突然活動が停止して放心状態となる(数秒~十数秒)

・遊泳運動(犬かきのように手足を動かす)

・全身、あるいは体の一部の筋肉群が、電気ショックを受けたように瞬間的に収縮する

・突然全身が脱力して崩れ落ちる

・意識がなく突然倒れる

・発作により嘔吐・失禁・脱糞などが起きる

*発作の頻度が多くなったり、間が短くなる・発作の時間が長くなる場合は症状が重症化し、1日に何度も発作を繰り返し(群発発作)・発作が数分以上に長く続く(てんかん重責状態)になることもあります。

 

 

3.犬のてんかんの治療

 

 

てんかんの治療は、特発性の場合は「抗てんかん薬」による発作のコントロールが主な治療です。

治療の目的は、発作の回数を少なくすることのため、発作頻度が月に1回未満の場合は一般的に治療開始にはなりません。

また、発作を完全になくすことはできず、発作を3カ月に1回程度までに抑えることが治療の目的です。

投薬によって70~80%の程度の犬が発作を軽減できるといわれますが、発作が抑えられるようになるまで数年かかることもあります。

薬を飲みながら定期的に血液検査を行い、発作回数と血液中の薬の濃度をみながら投薬量を決めていきます。

てんかんは生涯にわたり薬が必要なので、発作が出なくなっても飼い主さんの独断で投薬を中止はできません。

 

症候性の場合は、発作の原因になる疾患の治療が必要な場合があります。

 

*てんかんの発作が起こった場合、原因が何かをはっきりさせるために精密検査を行っておきましょう。

 

 

4.犬のてんかん発作の注意

 

 

 

 

 

てんかん発作は、ストレスや強い刺激(フラッシュのような光・金属音・ビニール袋の音など)または、天候の変化や周囲の環境が引き金となって発生することもあります。

 

発作時の注意

・犬に呼びかけない・犬に触れない・強い光に当てない

新たな刺激となり、次の発作を誘発する原因になる

 

・犬の口の周りに触れない

犬は舌が詰まって呼吸困難になることは基本的にはないため、犬が意識なく噛んでしまい怪我をしないため

 

・安全な場所

発作を起こしている犬が、落下物などで怪我をしないように落下物を取り除き、保護をするように柔らかいタオルや毛布などを周りに置く

 

てんかん発作が起きている間は、静かに見守っていてあげてください。

 

発作が起きたあとの受診で伝えること

・発作が起きていた長さ(時計で計る)

・発作前の様子(口をくちゃくちゃさせる・よだれを出すなど)

・発作時の様子(スマートフォンなどで動画が撮れるといい)

・発作後の様子

・きっかけは何か

 

てんかん発作は、その都度記録をつけましょう。

*初めて愛犬が発作を起こしたのを目のあたりにしたときは、飼い主さんもパニックになり冷静でいられないと思います。

・犬の安全確保

・手を出して怪我をしないようにする

・大声を出さない

などの注意は頭に留めておきましょう。

5.まとめ

 

 

てんかん発作は、突然起こります。

私も経験しましたが、初めての時はあまりの凄さに「死んでしまう」とパニックになっていました。

何をしたらいいのか分からず、ただただ立ち尽くして見ていただけでした。少しすると、普段と変わりなく「あれ?どうしたの?」というように私の顔をのぞき込むような感じさえしたのです。

慌てて病院に連れて行き、対処の仕方を教わり、発作が起こるとテレビなどの音を消し・電気を消し・毛布を置きましたが、ほんの数秒~1分くらいが、ものすごく長い時間のように感じました。

お薬の量を調節して飲ませていれば、発作が起きた時は悲しい気持ちになるのですが、あとはいつもの様子で過ごせます。

老犬になるといろいろな病気になり、「てんかん発作」を起こすこともあります。

老後の介護と共に、きちんと投薬をして長く一緒に過ごしたいですね。

 

老犬ホームさんに「てんかん発作」の分かりやすい動画がありました。

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