犬猫に多い腎臓病を早期発見したい
犬猫ともに死因の上位にあがる腎臓病ですが、腎臓病をできるだけ早く発見して治療し、長くともに過ごしたいものです。
腎臓病を早期に発見するために、従来の検査方法や新しい検査方法を考えてみましょう。
1.腎臓病に関する数値の見方
腎臓の検査で腎機能を知るには、生化学血液検査でBUNとCREの数値をみます。
・BUN(尿素窒素)
BUNとは、体のエネルギーとして使われたあとのタンパク質の毒素・老廃物のことです。
タンパク質は炭素・水素・酸素・窒素が含まれていて、エネルギーに使われたあとはアンモニアが発生します。
アンモニアは有害物質なので、肝臓で毒を無毒にし尿素となります。
しかし、腎臓の動きが悪くなると、老廃物がろ過されず体内に留まり、BUNの数値が高くなります。
*BUNの数値が低い場合は、尿素を作る肝臓の機能が悪くなっているか、食事でタンパク質の量が極端に少ないことがあります。
脱水の状態でも影響がでて数値が上下するので、腎機能の状態をみるのに特に重要視されるのはCREの方です。
・CRE(クレアチン)
CREは腎臓が正常に動いているか、どのくらい腎機能が残っているかを知る指標になります。
クレアチニンは筋肉のエネルギー源のクレアチンが、エネルギーとして使われた老廃物のことです。
使われたクレアチニンは腎臓でろ過され、尿とともに排出されます。
腎臓の動きが悪くなると、血液中にクレアチニンが残り数値が高くなります。
*血液検査でBUNとCREの数値がともに高い時は、腎臓は約75%の機能が失われているといわれます。
2.BUNとCREの数値でみる残された腎機能のステージ
通常の血液検査(BUN・CRE)では、腎臓の75%が悪くならないとわかりません。
3.IDEXX SDMA 腎臓検査
通常の血液検査では、腎臓(BUN・CRE)が75%悪くならないとわかりませんが、IDEXX SDMA検査では、腎臓機能の40%(早い場合は25%)が悪くなった段階でわかる信頼性の高い腎機能マーカーです。
BUN・CREを測定する際に、SDMA検査を一緒に測定するといろいろなことがわかります。
・腎臓病を早期発見できる
・慢性腎臓病(CKD)
・急性腎障害(AKI)
・腎盂腎炎
・上部尿路閉塞
・腎結石
・糸球体腎炎
・先天性腎疾患
・腎臓病以外で腎臓への影響を反映
・甲状腺機能亢進病
・ベクター媒介性疾患
・全身性高血圧
・心腎関連
・下部尿路閉塞
・敗血症
・がん
・腎毒性物質
4.まとめ
腎臓病の死亡の順位は、犬が第3位・猫が第2位ととても高いのです。
腎臓は1度悪くなると、決して元には戻りません。
そのため腎機能の維持がとても大切になります。
私たちの大切な家族の犬・猫と、長く過ごせるために健康診断はとても大切です。
健康診断の際に、SDMA検査も一緒にすることによって、腎機能の確認、腎機能のステージがわかります。
シニアに入ったら、健康診断をきちんとして病気の早期発見をしましょう。
犬の膀胱炎と猫の尿路結石と猫に多い腎不全も参考にしてください。