犬の偽妊娠、犬も想像妊娠をするの?

女の子の犬を飼っているお家で、交配もしていないのに妊娠をしたような症状をする犬がいます。

人間の場合は、強く妊娠を望んでいる概念やイメージが起因しているので、一般に「想像妊娠」と言います。

犬の想像妊娠は、妊娠に対する概念を持っていないので、想像妊娠ではなく「偽妊娠」「疑似妊娠」と言い方になります。

1.犬の発情期

女の子の犬は生後半年を過ぎ、性成熟(個体差によって6~12カ月経つと)を迎えると最初の発情期を迎えます。

1度発情を迎えるとその後は一般的に、年2回程度(春と秋)発情します。

1-1.犬の発情サイクル

①発情前期

ヒート(生理)が始まってから、約10日間が排卵の準備期間です。

②発情期

発情前期を過ぎた7~10日程度で、発情期となり雄を受け入れる準備が整います。

③発情後期(無発情期)

妊娠期間となる約2カ月が発情後期です。

発情後期の後、約3カ月(3~8カ月)ほどが無発情期です。

*排卵が起きると「黄体(おうたい)」が形成され、黄体ホルモンの分泌が始まります。

このホルモンの作用で子宮内膜が増殖し、妊娠しやすい子宮環境が作られます。

2.犬の偽妊娠

犬の偽妊娠は、ホルモンのバランスで偽妊娠をしてしまいます。

・プロゲステロン(黄体ホルモン)

妊娠維持に必要な女性ホルモン。妊娠していなくとも分泌される。

・プロラクチン

プロゲステロンが低下したころにプロラクチンが分泌され、乳腺を刺激することで体や行動に変化がでる。

発情期から発情後期へと移行する、約2カ月間程度は妊娠に必要なホルモン分泌が続くことから、腹部の膨らみ・つわり・母乳が出るなどと妊娠の症状がでます。

2-1.犬の偽妊娠の症状

①体の変化

・つわり(嘔吐・食欲不振・食欲旺盛)

・おなかが膨らむ

・乳腺肥大(しこり・母乳が出る)

・腹筋の収縮

②行動の変化

・攻撃的になる

・巣作りをする

・出かけるのを嫌がる

・落ち着きがなくなる

・苦しそうな声で鳴く

・子育て行動(おもちゃ・ぬいぐるみで子育てをする)

偽妊娠の期間は個体差があります。

通常は2週間程度で治まることが多いですが、乳汁が出ている場合などは症状が長期化することがあるので獣医師に診てもらいましょう。

3.犬の偽妊娠のリスク

偽妊娠は獣医師でも、病気・正常な生理反応という見解に分かれます。

通常では2週間程度で何もなかったように元に戻るのですが、頻繁に偽妊娠をする場合は注意が必要です。

3-1.子宮蓄膿症

子宮膜に長期間の充血になるため、子宮蓄膿症を誘発するリスクがあります。

子宮蓄膿症とは、子宮内が炎症を起こし膿が溜まる病気です。

膣から膿が出たり、悪臭がします。

子宮口が閉じている場合は、溜まった膿により子宮が破裂し、腹膜炎を併発することもあります。

3-2.乳腺炎

偽妊娠をし母乳が出るようになった犬が、自分の乳を舐めていたり・ひっかき傷から細菌に感染することで炎症を発症したり、乳腺が目詰まりを起こすことで乳腺炎になります。

放置しておくと乳頭が壊疽をおこし、切除手術をしなければならないこともあります。

また、乳腺腫瘍も注意しましょう。

4.まとめ

出産経験のある犬も、偽妊娠が癖になっている犬も、交配の予定のない犬は、リスクを回避するためにも、早めに避妊手術を受けた方が良いかもしれません。

しかし、避妊手術にはいろいろな意見があります。

避妊手術を行わない場合は、飼い主さんの早期発見と定期的に獣医師に受診をしましょう。

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