犬にも、私たち人間と同じように白血病があります。
よく骨髄性・リンパ性と聞きますが、犬にも同じように骨髄性・リンパ性の白血病があるのでしょうか。
1.犬の白血病とは
白血病細胞と呼ばれる癌細胞が血液や骨髄の中で増え、正常に血液が作れなくなります。
そのため免疫力が落ちる・臓器が正常に機能しなくなる病気で「血液の癌」とも呼ばれています。
癌化した細胞はリンパ性と骨髄性に分けられ、種類によって急性と慢性に分けられます。
分類
・急性
・慢性
種類
・リンパ性
・骨髄性
病名
・急性リンパ芽球性白血病(ALL)
・急性骨髄性白血病(AML)
・慢性リンパ性白血病(CLL)
・慢性骨髄性白血病(CML)
犬に多くみられるのは、急性リンパ芽球白血病(ALL)です。
5~6歳前後からよくみられ、シニア犬には慢性リンパ性白血病(CLL)がみられるようになります。
2.犬に多い白血病のリンパ腫とは
犬の白血病で最も多いリンパ腫ですが、犬の腫瘍の中でも発生率が高く、犬の腫瘍全体の7~24%を占めます。
リンパ球は免疫細胞である白血球の1種で、白血球は血液中や全身のリンパ管内・リンパ節・皮膚・消化管など全身に存在しています。
白血球は病原体や異物の侵入に対し、パトロールをしている細胞です。
リンパ腫には、多中心型・消化器型・縦隔型・節外型・皮膚型など多岐にわたりますが、そのうち80%以上がリンパ節から発生する多中心型リンパ腫といわれます。
・多中心型
リンパ腫全体の80%以上に認められる、最も多いリンパ腫です。
体表にあるリンパ節が腫大し、進行に従って肝臓・脾臓・骨髄などにも広がっていきます。
・消化器型
リンパ腫全体の5~7%に認められ、腸管に病変が広がっていきます。
・縦隔型(胸腺型)
全体の約5%に認められ、胸腔内にある前縦隔リンパ節や胸腺、またはその両方の種大が特徴です。
腫瘤により圧迫や胸水貯留により、呼吸困難が生じることがあります。
また、高カルシウム血症がよくみられます。
・節外型
眼・中核神経系・骨・精巣・鼻腔などから発生しますが、どれも稀なタイプです。
・皮膚型
皮膚に発生する稀なタイプです。
孤立性や全身に多発することがあります。
3.犬の白血病のリンパ腫の症状
犬で最も多くみられる多中心型リンパ腫は、全身のリンパ節が腫れますが、病期が進行してこなければ目立った症状は見られず元気なことが多いです。
ご家族がまったく気が付かず、予防接種などの別件の受診で発見されることも少なくはありません。
しかし、無治療でいると急速に全身の臓器に浸潤して、約1か月で死に繋がることもいわれます。
主な症状
・多中心型
リンパ節の腫れ・痛みや発熱・食欲不振など
・消化器型
下痢・嘔吐・削痩(サクソウ:痩せている状態)・腹膜炎
・縦隔型
胸水の貯留・呼吸困難・咳・運動力の低下・嘔吐など
・節外型
神経に発生するタイプでは、早い段階で神経症状がみられることがある
・皮膚型
皮膚に小さな赤い発疹や斑点・脱毛など
4.まとめ
現在の治療法は「外科療法」「化学療法」「放射線療法」「食事療法」となります。
高額な治療費になることもありますので、進行状態やどの治療を行うかを慎重に判断する必要があります。
獣医師とよく相談をし、治療を行ってください。
現在犬の死亡原因病気の50%以上が癌となります。
多い癌は、乳がん(乳腺腫瘍)・肥満細胞腫・悪性リンパ腫・扁平上皮ガンなどがあげられます。
少しでも早く発見できるように「ブラッシング」「コミュニケーション」を取りながら、身体に触れるようにして少しでも違和感がありましたら獣医師に相談してください。