犬にも破傷風はあるの?

 

 

私たちの身近にある怖い破傷風は、愛犬にも危険性のある感染症です。

 

 

 

1.犬の破傷風とは

 

 

破傷風は、土壌中などに広く存在する細菌です。

外傷部から侵入し、潜伏期間は4~5日(数週間のときもある)と言われています。

破傷風菌は神経毒を産生し、持続的な筋肉の緊張を引き起こし、重症になると数日で死に至ることもある怖い感染症です。

破傷風は私たち人間にもかかり、人間の場合は法律で5種感染症に定められ、診察した医師が7日以内に保健所に届ける必要があります。

動物の場合でも、「家畜伝染病予防法」により届出伝染病に指定されている重要な感染症です。

破傷風菌に対する抵抗力は、馬が一番低く次に人間、犬、猫の順に破傷風菌への抵抗性があると言われます。

 

 

2.犬の破傷風の原因

 

 

破傷風菌は、土壌に潜む細菌です。

この細菌が、人間や動物の傷口から入ることで感染します。

通常人間や動物同士での感染はありませんが、口の中に破傷風菌を持っている動物に噛まれた場合は、感染の可能があります。

犬は直接地面に足をつけて歩くので、菌が潜む可能性のある土との接触は避けられません。

犬には、人や馬のようにワクチンがないので、破傷風菌に感染しないように外出するときは、脚を中心に傷がないか確認してください。

とても小さな傷でも、破傷風菌に感染してしまうので気をつけましょう。

 

 

3.犬の破傷風の症状

 

 

運動神経

・開口障害

顎関節を動かす咬筋と側頭筋が、同時に硬直することで口が開かなくなった状態

 

・後弓反張

四肢・背部・頸部の筋肉が同時に硬直することにより、弓なりに仰け反った状態

 

・痙笑(けいしょう)

口の周辺部にある筋肉が硬直することにより、口角を引いたまま表情が固定されている状態(引きつり笑いに近い状態)

 

・直立耳

耳の周辺部にある筋肉が硬直してしまい、耳と耳の距離が縮んで直立した状態

 

・額のシワ

前頭筋が硬直することで、額にできたシワが消えなくなる状態

 

・高体温

横隔膜や助間筋の動きが妨げられることで、十分な酸素を取り込めなくなり呼吸回数が増えてしまう状態

硬直が悪化すると呼吸困難になり、死亡することもあります

 

・四肢硬直

前足や後足の伸筋群のトーヌスが亢進し、筋肉が意志に反し長時間に渡って収縮し続ける状態

 

・有痛性スパズム

接触・光・音など外的な刺激に反応して、筋肉が短時間だけ収縮する状態

強く収縮するため、痛みを伴うことがあります

 

自律神経

・よだれが増える

・頻脈・徐脈

・高血圧・低血圧

・発汗障害

・瞬膜露出

 

発症から28日間の生存率は77%で、高齢犬より若齢犬の方が重症化しやすく、重症度と生存率は反比例するといわれます。

 

 

4.犬の破傷風とレム睡眠行動障害

 

 

犬の破傷風の回復期に「レム睡眠行動障害」という異常行動がみられることがあります。

レム睡眠行動障害は先天性と後天性があり、破傷風の回復期に起きるレム睡眠行動障害は後天性になります。

レム睡眠行動障害とは、レム睡眠中に荒々しい四肢を動かし、遠吠え・吠える・唸る・噛むをいった幻覚的な行動をすることです。

また、てんかん発作のような引きつけを起こすことも多いので、てんかん発作と間違われることも多いようです。

 

「破傷風の合併症」

・誤嚥性肺炎

・尿路感染症

・上気道閉塞

・裂孔ヘルニア

・寛骨大腿脱臼

・ひきつけ発作

・呼吸停止

などが合併症で起こる可能性があります。

 

 

5.犬の破傷風の治療

 

 

・抗毒素血清の投与

犬猫用の抗毒素血清はなく、馬の抗毒素血清や人の破傷風に対する免疫製剤を使用します。

馬の抗毒素血清はアナフィラキシーショックを起こす危険性があり、人の破傷風に対する免疫製剤は1回しか使用できない・副作用があるので慎重に投与することになります。

 

・抗生剤の投与

抗毒素に対する治療ではないですが、破傷風菌への治療を目的として特定の抗生剤を使用します。

抗生剤の投与はある程度の期間、続けます。

 

・筋硬直・けいれんの緩和

筋肉の硬直を緩和する目的で、筋肉を緩める作用や抗けいれん作用のある薬を投与します。

音や光の刺激に過敏に反応して、けいれんや筋硬直が悪化するので、暗く静かな場所で安静にしながら治療を行います。

 

・全身の改善・外傷の治療

全身状態を整える対症療法で呼吸困難であれば酸素呼吸、脱水などには輸液療法などを行い、外傷治療を行います。

 

重症の場合は、積極的に治療を行っても数日で命を落とすこともあります。

おかしい様子があれば、すぐに獣医師に診てもらいましょう。

破傷風は早期に治療を行うことが重要です。

 

 

6.まとめ

 

 

破傷風は、傷口に破傷風菌がつくる毒素によって起こる感染症です。

私たち人間にも起こりうる怖い感染症です。

愛犬は素足で地面を歩くので、小さな傷口からでも感染してしまいます。

外出するときは、必ず四肢に傷がないかをチェックしてあげてください。

 

 

犬の破傷風で助かった記事がありました。

動画もあるので参考にしてください。

(画像は『Bunny 2020年7月4日付Instagram「FINAL CONTINUED from 3 posts back.」「2 aLL my friendZ!」、2020年6月9日付Instagram「wUt do mEaN it’s only tUesDay」』のスクリーンショット)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

モバイルバージョンを終了