私たち人間と同じように犬猫も癌になります。
悪性腫瘍のなかで、肥満細胞腫という名前を聞いたことがある人もいると思います。
肥満細胞腫は皮膚腫瘍のなかで、犬で第1位・猫で第2位と発生率の高い腫瘍です。
1.犬の肥満細胞腫とは
肥満細胞という名前ですが、肥満とは関係がありません。
肥満細胞腫とは、哺乳類の粘膜下組織などに存在する造血幹細胞由来の細胞で、炎症や免疫反応などの生体防御機構に重用な役割をしています。
細胞が膨らんだ様子が肥満を想起されることからついた名前で、顆粒細胞(マスト細胞)とも呼ばれます。
肥満細胞腫は、体の中にある肥満細胞が腫瘍化して、どんどん増殖する悪性腫瘍で犬猫にはとても多い疾患です。
この病気が発症すると、皮膚や皮膚の下にしこりができ、リンパ節・肝臓・脾臓といった臓器に転移します。
皮膚以外でも、口の中・筋肉の間・内臓を原発にする肥満細胞腫もあります。
2.犬の肥満細胞腫の症状
肥満細胞腫に肥満と名前がついていますが、犬の体格とは関係ありません。
皮膚にできる肥満細胞腫は、イボのようだったり・脂肪の塊のようだったり・皮膚炎のように赤くなったりとさまざまです。
また、大きくなったりと小さくなるなどすることも多く、しかし小さくなったからと安心ではありません。
触っていたら急に大きくなった、真っ赤になったなどの変化があり、同じくらいのタイミングで吐き気や下痢などを起こすようだと、肥満細胞腫の可能性が高くなります。
犬の場合は、皮膚の肥満細胞腫の大部分は孤立性の結節病変で、11~14%が多発性を示すといわれます。
皮膚の肥満細胞腫は真皮や皮下組織に発生し、細胞質内にヒスタミンやヘパリンなどの生理活性物質を含むため、まわりの組織に炎症や浮腫みを起こします。
胴体によく見られ手足にも25%くらいの確率で認められ、ほかの発生する部位は眼の結膜・唾液腺・鼻咽頭・喉頭・口腔・胃腸・尿管・脊椎などがあります。
転移の多くが、領域リンパ節・肝臓・脾臓です。
3.犬の肥満細胞腫のグレート
グレートを知るには、病院で病理組織検査をするしかありません。
グレートⅠ
悪性度:低い
転移 :起こしにくい
治療 :通常手術のみ
再発 :起こしにくい
特徴 :適確な手術で完治が見込める
グレートⅡ
悪性度:高い
転移 :起こすことがあり
治療 :手術または抗がん治療や放射線治療
再発 :起こしやすい
特徴 :適確な手術で完治が望める場合もあり。また、十分な治療をしても再発や転移が進行することもある
グレードⅢ
悪性度:非常に高い
転移 :起こしやすい
治療 :手術+抗がん剤、状況により放射線治療も行う
再発 :非常に起こしやすい
特徴 :非常に悪性度が高く、十分な治療を行っても完治が難しい場合が多い。
*グレードにかかわらず転移していると、完治は難しくなります。
4.まとめ
犬の肥満細胞腫は、ほかの悪性腫瘍と同じに発見が遅れると転移し、命にかかわる状態になります。
犬の肥満細胞腫は、比較的よく発症する病気なので、犬の皮膚のしこり・イボ・脂肪を見つけたら、できるだけ早く獣医師に診てもらいましょう。
犬のイボについては参考にしてください。