甲状腺の病気には、犬に多い甲状腺機能低下症と猫に多い甲状腺機能亢進症があります。
愛猫が、行動が活発になった・食欲があるのに痩せていく・大きい声で夜鳴きをするようになったなどと、一見大きな病気とは考えにくいのですが、猫の中高年にみられるホルモンの病気の甲状腺機能亢進症かもしれません。
1.猫の甲状腺機能亢進症とは
甲状腺は喉のあたりにあるホルモンを分泌し、全身の細胞に働いて新陳代謝を高める小さな臓器です。
甲状腺機能亢進症は、この小さな甲状腺の機能が「亢進」してしまい活発化する病気です。
甲状腺ホルモンは全身に作用し全身の代謝を良くしますが、甲状腺機能亢進症になると甲状腺ホルモンが異常に多く分泌されてしまうことで、体のさまざまな臓器に負担をかけてしまい、さまざまな症状を引き起こします。
*甲状腺機能低下症は、甲状腺機能亢進症とは逆で甲状腺からのホルモンの分泌が減少することによっておこる病気です。
2.猫の甲状腺機能亢進症の症状
甲状腺は人でいうと、「のどぼとけ」のすぐ下にある小さな組織で左右1対あります。
甲状腺機能亢進症は、甲状腺の片方または両方の甲状腺組織の過形成や腫瘍化などで甲状腺が大きくなり、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。
主な症状
・食欲が増えているのに痩せる
・飲水量が増える
・落ち着きがなくなる
・攻撃的になる
・性格が変わる
・イライラする
・毛艶が悪くなる
・暑がる
・目がギラギラしている
・呼吸が早い
・下痢、軟便
・食欲・元気の低下 など
合併症
・肥大型心筋症
甲状腺ホルモンは心筋の収縮力を高め、心拍も早くなり肥大型心筋症を併発することが多い。
・高血圧症
高血圧症は、全身の血圧が上昇している状態です。
血圧が高くなることで、さまざまな臓器に損傷を与えるので、長期的に組織に損傷を与えます。
3.猫の甲状腺機能亢進症の治療
多くの場合は甲状腺ホルモンの分泌をコントロールするため、内服薬を使用します。
甲状腺機能亢進症は一度発症すると、生涯に渡って付き合う病気なので、内服薬や療法食でコントロールうまく出来ない場合は、甲状腺を切除する外科治療を行うこともあります。
外科治療をすると甲状腺ホルモンが分泌されないため、内服薬で甲状腺ホルモンを補填する必要があります。
内科療法
甲状腺ホルモンを過剰に作らせないための、投薬療法を行います。
甲状腺ホルモン値を測定しながら薬の量を、適切に決めていきます。
投薬を始めると、生涯にわたり内服する必要があります。
外科療法
内科療法で上手くコントロールができない場合は、甲状腺を切除します。
甲状腺を切除すると甲状腺ホルモンが分泌されなくなるため、甲状腺ホルモンの内服薬が生涯にわたり必要となります。
療法食
甲状腺機能亢進症のための療法食があり、反応が良ければ内服薬を飲まずに食事でコントロールをします。
しかし、この療法食以外の食べ物は、一切口に出来なくなります。
4.まとめ
甲状腺機能亢進症は、7歳以上になると10%以上はこの病気を持っているそうです。
夜鳴きなども症状でみられることもあります。
これは、甲状腺機能亢進症の可能性や腎不全・膀胱炎などによる痛みも疑われますので、早めに獣医師に相談しましょう。