新しい家族を迎えたら、水頭症と診断されてしまったと聞いたことがあります。
人間にもある水頭症という病気は、どういった病気なのでしょうか。
犬の水頭症は、小型犬に多くみられる病気です。また、大型犬や猫などにも先天性で発症することが知られています。
1.犬の水頭症とは
脳は頭蓋や脊柱内でぶらさがり、脳脊髄液(CSF)の中に浮いています。
柔らかい脳は衝撃などから、この脳脊髄液で守られています
脳の中には、脳室という部屋がいくつかあります。この脳室の中は、脳脊髄液で満たされています。
この脳室内の脳脊髄液が過剰に停留して、脳室が正常より大きくなってしまった状態が水頭症です。
いくつかの脳室を、脳脊髄液が循環しながら絶えず脳脊髄液を生産と吸収を繰り返します。
*脳脊髄液は血液から作られ循環し、また血管内に吸収されることによって、適切な量を保ちます。
脳脊髄液の流れが悪く生産量が増えることによって、吸収が十分にできないと脳脊髄液が多くなり、水頭症を発症します。
2.犬の水頭症の症状
2-1.原因
水頭症の原因は先天性と後天性があります。
発症の割合として多くは先天性のもので、犬種による遺伝性なものになります。
後天性のものは、犬の脳腫瘍や事故などで脳出血・髄膜炎などで、脳脊髄液の循環経路が塞がれ、一定循環しているはずの脳脊髄液の異常分泌などで水頭症を発症します。
2-2.症状
脳の障害を受けた部位や程度・期間で、さまざまな神経症状がでます。
・ドーム状に頭部が膨らむ
・元気がなく疲れやすい
・痙攣発作
・嗜眠(睡眠を続け、強い刺激を与えなければ目覚めて反応しない)
・意識障害
・不全麻痺
・斜視(目が外の下方向を向いている)
・眼球振とう
・視覚障害
・食欲(過食・小食)
・行動異常(攻撃的になるなど)
・歩行障害
など
3.犬の水頭症の治療
3-1.内科的治療
脳脊髄液(CSF)の生産を抑え、頭蓋内圧(頭の中の圧力)を低下させることで、水頭症の症状を和らげます。
・ステロイド
・利尿剤
・抗痙攣薬
*内科的治療は水頭症の症状を和らげるもので完治はしません。
3-2.外科的治療
残念ながら外科的治療でも、水頭症は完治できません。
外科的治療は、どの症状でも出来るわけではなく、症状と健康状態によって行われることがあります。
・直接針を頭に刺して、脳脊髄液(CSF)を抜く処置
・脳圧を一定に保ちながら、余分な脳脊髄液(CSF)を腹腔に排出するように、弁の付いた管を脳室からお腹に通す手術
4.まとめ
水頭症は、小型犬に多くみられる脳の病気です。
先天性のものが多いため、予防は困難です。
しかし、早期発見で症状の緩和や延命は可能です。