犬の目の病気で白内障(犬の白内障を参考にしてください)が有名ですが、人間でもある緑内障が比較的に多い目の病気です。
緑内障とはどういう病気なのでしょうか。
1.犬の緑内障とは
犬の目の角膜と水晶体の間には、「眼房水」と呼ばれる血液の代わりに栄養などを届ける液体が循環しています。
目の中の眼房水は、常に一定量を保っていますが、何らかの原因で眼房水をうまく排出できずに眼房水がどんどん目の中に溜まってしまい、目の中の圧力である「眼圧」が上がってしまいます。
眼圧が高くなることで、さまざまな障害が引き起こされ視視覚が障害されてしまうのが、「緑内障」という病気で中年齢から高年齢犬でよくみられます。
2.犬の緑内障の原因
犬の緑内障は、大きく分けて3つに分類されます。
・先天性緑内障
生まれつき、眼球の隅角の異常が原因で緑内障を発症しますが、犬には稀なものです。
・原発性緑内障
原発性とは原因不明で、緑内障を引き起こす疾患がないのにもかかわらず、隅角の異常から眼圧が上がることで発症する緑内障です。
隅角の異常は、隅角の形によって2種類に分類されます。
・解放隅角緑内障
隅角の形に異常はないが、防水の流出路の線維柱帯の生化学的代謝の異常により、房水の流出障害が生じて緑内障を発症します。
・閉鎖隅角緑内障
隅角が狭い・閉鎖しているため、房水の流出障害が生じ緑内障を発症します。
閉鎖隅角緑内障が、犬で最も多い緑内障です。
・続発性緑内障
眼圧の上昇を引き起こす基礎疾患があり、緑内障を発症します。
原因となる基礎疾患とは:水晶体疾患(水晶体脱臼、膨張白内障)・眼内腫瘍
ぶどう膜炎・裂孔原性網膜剥離など
*犬の続発性緑内障の約80%は、白内障と水晶体起因性ぶどう膜炎と関連があるとされています。
3.犬の緑内障の症状
犬の緑内障は「角膜浮腫」「上強膜充血」「瞳孔散大」がみられ、対光反射の遅延や喪失がみられます。
眼圧が上がり・眼の痛みが出て、顔や頭部を触られるのを嫌がりったり、まぶたが痙攣する「眼瞼痙攣」がみられます。
症状が進行すると物にぶつかすなど、「視覚障害」「視覚喪失」となります。
また慢性的に高眼圧が続くと、眼球が膨らんで大きくなってしまう「牛眼」と呼ばれる状態になります。
*「牛眼」とは眼圧が高くなると眼球(特に角膜)が大きくなり、牛の眼のように見えることから牛眼といわれ、緑内障慢性期を意味して視覚を永続的に喪失している状態です。
・緑内障のチェック
・目が大きくなっている
・目の表面が白っぽく見える
・白目の部分が充血している
・物によくぶつかるようになった
・明るい場所でも瞳孔が開いている
・目を眩しそうにしぱしぱさせている
・涙が増えた
・寝ている時間が増えた
・触らうとすると嫌がるようになった
・瞼が痙攣する
4.犬の緑内障の治療
・内科的治療
高くなった眼圧を下げるために、点眼を頻繁に投与します。
また眼圧が低下しない場合は、全身投与薬の炭酸脱水素酵素阻害薬の内服や、高浸透圧利尿薬の静脈投与をし眼圧を下げます。
・外科的治療
内科的治療で眼圧維持や内科的治療での負担がある場合に、外科的治療を行います。
・病気の発症から日が浅く視覚のある場合
・隅角インプラント(バイパス手術)
目の中に医療用チューブを設置して、断続的に眼房水を出して眼圧と視覚を維持します。
*根本的な治療ではなく、眼圧を制御しやすくします。
・レーザー
眼房水の生産や排出を医療用レーザーにより調節します。
・病気の発症から時間が経過し視覚の回復が見込めない場合
・強膜内義眼挿入術
目の中の組織を取り、代わりに医療用シリコンボールを挿入します。
・眼球摘出術
眼球を摘出し、まぶたを縫合して閉じた状態になるようにします。
・硝子体内内薬剤注射
水晶体より後ろにある硝子体に薬を注射し、眼房水を作る組織を壊し、目の中の水(眼房水)の生産を抑えます。
*視力を失っても緑内障は痛みを伴ったままなので、義眼の挿入や摘出などをします。どの犬でも出来るわけではないので、獣医師と十分に相談をしてください。
5.まとめ
犬の緑内障は飼い主さんが気が付いた時には、視力を失っていることの多い目の病気です。
痛みを伴う病気ですので、少しでも早く気が付いてあげることが大切です。
中年齢から高年齢に発症が多いので、コミュニケーションを取っている時に目を覗いてあげてください。
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