愛猫が急に歩行不能になって歩けなくなると、飼い主はパニックになったりします。
そんな時にある程度の病気の知識があれば、すぐに対処法ができます。
今回は「動脈血栓症」を知っておきましょう。
1.猫の動脈血栓症とは
血栓症とは、血管内に血の固まりが詰まってしまうことです。
人間でよく聞くのは、「脳梗塞」「心筋梗塞」「エコノミークラス症候群」なども血栓症の1つです。
猫の場合で最も多いのは、心筋症の合併症で起きる血栓症です。
猫の心筋症で多いのは、肥大型心筋症(参考にしてください)で肥大型心筋症の猫に動脈血栓症がよくみられます。
一番多い血栓症は、心臓から下半身に向かう動脈の左右の足に分岐する部位で、急に細くなっているために詰まってしまうことが多いのです。
動脈梗塞は強い痛みを伴なうため、詰まった瞬間に叫び声をあげ梗塞を起こした先の血管に十分に血液が供給されずに酸欠を起こし、痛みを含めた感覚がなくなり後肢不全麻痺を起こします。
動脈梗塞を起こすと、その先に血液がいかなくなり足が壊死してしまうこともあり、壊死した場合は切断しなくてはなりません。
一刻も早く獣医師に診てもらってください。
2.猫の動脈血栓症の原因
血栓は本来出血をしたときに血液が固まる性質が、誤って血管内に起きてしまいます。
その原因は、血管内の損傷・心臓病・腫瘍・全身性炎症疾患・甲状腺機能亢進症・血管内での細菌(敗血症)や寄生虫の感染なども血栓形成の原因となります。
猫の場合は、動脈血栓症の9割が心臓病です。
肥大型心筋症の猫の12~41%、うっ血性心不全の猫の40~66%が動脈血栓塞栓症を発症するといわれます。
3.猫の動脈血栓症の症状
猫の動脈血栓症の血栓が塞栓されるのは、9割程度が腹部大動脈の分岐部(後ろ足両方に枝分かれする急に細くなる部位)といわれます。
動脈血栓塞栓症が起きると、後肢不全麻痺が起こり後ろ足が動かない症状が見られます。
激しい痛みを伴うため、叫び声をあげることもあります。
また呼吸が荒くなり、これは心筋症により胸水や肺水腫が起こり呼吸が困難になっています。
・自宅での確認法
突然の手足の麻痺
疾患肢を触ると痛がる
疾患した肢が冷たい
呼吸が荒い
など
動脈血栓塞栓症を起こすと、激しいい痛み・後ろ足が動かなくなるなどの症状が出ますので、様子を見ているなどの時間をつくらず、激しく動かさず安静を維持したまま幹部を温めながら病院に直行してください。
4.まとめ
猫の動脈血栓症は激しい痛みを伴うので、安楽死も選択肢に挙がることもあります。
しかし近年では生存率も上がっているので、早急な安楽死は避けてみてはいかがでしょうか。
発症から72時間は容態を見守るべきと警告している医学論文もあるので、獣医師とよく相談し治療を試みて回復してくれることを心から願います。