犬の分離不安症という言葉を、聞いたことはありませんか。
飼い主さんの後ばかりを追う・姿が見えないと鳴き続けるなどの犬を見ると、飼い主さんのことが大好きなのだろうなと思ってしまいますが、「分離不安症」=「飼い主さん大好き」ということではありません。
犬の分離不安症とは、どういうものなのでしょうか。
1.犬の分離不安症とは
犬の分離不安症とは、飼い主さんから離れることに強い不安とストレスを覚え、精神的・肉体的にダメージを受けてしまう状態です。
犬は本来、野生で群になって行動をする動物です。
子犬の時期や環境が変わったときなど、一定期間見られて自然に改善することが多いのですが、中には飼い主さんが犬の傍にいないことへの不安がきっかけになり、犬が問題になるような行動を起こすようになることがあります。
このような状態の総称が、分離不安症といいます。
2.犬の分離不安症の症状
人間の精神と同じで、犬の精神も診断はとても難しいものです。
正しく見極めることは難しいのですが、分離不安症と見られる行動は、犬が独りぼっちの時だけみ見られるかとうかを確認してください。
分離不安症から、何らかの病気・犬の年齢・性格といったこれらの原因を除外しなければなりません。
分離不安症は、犬が独りぼっちになった時にパニックになり、下記の行動を起こすことがあります。
・排泄の失敗、過剰な排泄
・吠え続ける、遠吠えをする
・家具などの破壊行動
・手足を舐め壊す、尻尾をかじるなどの自傷行動
・飼い主さんがいない時に食糞
・留守番をさせられる場所から逃げ出そうとする
・一定の場所を一定のリズムでウロウロ歩き回る
・飼い主さんの留守中は食べない、食欲低下
・下痢、嘔吐などの体調不良
3.犬の分離不安症の原因
犬が分離不安症になるには原因があります。
どのようなきっかけで、分離不安症になったかを考えましょう。
・過去の恐怖体験
留守番をしている時に大きな音や地震などがあり、怖い思いをしたことがあり独りになると、また怖いことが起こるという不安からの症状。
・環境の変化
引っ越しやリフォーム・子供やペットが増える・生活パターンが変わる・飼い主さんが変わるなどの環境の変化がきっかけになる。
・運動不足や退屈
留守番が長い・飼い主さんとのコミュニケーション不足・運動不足などで発症することもある。
・構われ過ぎている
コミュニケーション不足とは反対で、普段から常に誰かが犬の相手をし、ひとりで過ごすことに慣れていない場合は、家族の不在に不安を抱くようになってしまいます。
・加齢
加齢で耳が遠くなる・目が悪くなる・機能の衰えに不安を感じるなど、独りでいられなくなり分離不安を引き起こすこともある。
・気質
怖がり・甘えん坊だったり依存心が強い犬は、常に飼い主さんに守られたいという気持ちから分離不安になることある。
子犬の場合は、自立心が芽生えると自然になくなることが一般的です。
・病気
脳や神経の疾患が原因のときも、同じような症状があることがあります。
4.犬の分離不安の対応法
重度の分離不安症の場合は、脳や神経に問題がある場合があります。
獣医師の処方により、原因にあった投薬治療を受けることもあります。
症状が軽い場合は、一般的に「しつけ」によって治すことから始めます。
●飼い主さんはいつも毅然とした態度をとり、どんなことがあっても自分(愛犬)を守ってくれるという安心感を日常から与えます。
●大声を出すと犬はどっちの声が大きいのかゲーム感覚になりやすいので、大声は出さず「しつけ」の時は同じ言葉を使う。例えば「静かに」という言葉に統一します。
声を荒げずにしっかりした声で「静かに」と言い、愛犬が吠えるのをやめるまで待ちます。
愛犬が吠えるのをやめたたら、ご褒美をあげましょう。
●飼い主さんが不在の時に、お部屋やゲージの中で独りでいても安心と思うようにします。
愛犬が不安にならないように少しの時間から練習を始めます。
飼い主さんが戻った時に静かにしていたら、「お利口だったね」と褒めてあげましょう。
これを徐々に時間を延ばしていき、独りでいても「飼い主さんは必ず戻ってくる大丈夫」と感じるようにします。
●お留守番をさせるときは、さりげなく出かけ帰ってきたときも大げさにせず、愛犬を興奮させないようにしましょう。
お留守番は大したことではないと覚えさせます。
出かける前に散歩を長めにする、ボール遊びで疲れさせたりすると、お留守番中がお昼寝の時間になったりします。
また、ラジオやテレビを小さな音で付けておき、電気をつけておくなどして大好きなおもちゃ遊びが出来るようにしておくのもよいでしょう。
●音に怖い思いをすることがあるので、工夫をしてみましょう。
天気予報を確認して、雷や雨の対策をします。
カーテンを閉める・雨度を閉めるなどして予防対策をしましょう。
●いろいろな対策をしても効果があらわれない場合は、ドックトレーナーや獣医師に相談をしましょう。
*分離不安症のトレーニングには時間が必要です。コツコツと時間をかけて練習をしましょう。
5.まとめ
分離不安症は愛犬にとって,とてもつらい・不安だ と思います。
私の愛犬も、生後3カ月のときに近所で、リードに繋がれていたまま捨てられていました。
保護した時は10時間後だったらしいのですが、これが愛犬にとってとても不安で寂しい思いをしたみたいです。
保護したあとは独りになると鳴き続け、嘔吐と下痢を繰り返して体調を崩していました。
心配で心療内科にも受診したのですが、やはり捨てられたことが原因のようでした。
お留守番ができないのは、飼い主さんも愛犬をどうしても連れていけないところが必ずあるはずです。
分離不安症で虐待を受けてしまう、捨てられてしまう犬も少なくないようですが、大切な家族です。
少しずつ、根気よく「しつけ」をして、愛犬にとって快適に過ごせるようにしてあげたいですね。
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