犬を迎えたら飼い主さんが予防してあげる責任は、大きく分けて4つあります。
狂犬病ワクチン・フィラリア(犬糸状虫症)・混合ワクチン・ノミ・マダニ予防があります。
蚊のでてくる時期に大切なのはフィラリア予防薬ですが、いろいろな種類があって愛犬に合うものはどれがいいのかと思う飼い主さんも多いと思います。
1.犬のフィラリア症とは
フィラリア(犬糸状虫)は、日本国内で人間の血を吸う蚊(ヒトスジシマカ・アカイエカ・トウゴウヤブなど)が、犬を刺すことで感染が成立する寄生虫が原因の病気です。
寄生虫というと、腸内に寄生して便に出てくる虫を想像しそうですが、フィラリアは血管や心臓に寄生する怖い病気です。
フィラリアはフィラリアに感染した犬の血を、蚊が吸血することによって蚊の体内にフィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)0.3mmほどの幼虫が入ってしまいます。
そしてそのフィラリアの幼虫を持った蚊が、また違う犬を吸血することで犬にフィラリアを感染させてしまいます。
犬の体内に入ったフィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)は0.3mmですが、6か月後には茹でた素麺のように約30cmに成長してしまい、心臓や肺動脈に寄生しながらたくさんの幼虫を生んでしまいます。
心臓や肺動脈に寄生するので、治療には時間がかかり生命にも関わる怖い病気です。
2.犬のフィラリア予防の時期
フィラリア予防期間は、蚊が出ている季節全般です。
フィラリア幼虫を持った蚊に刺されると、犬の皮膚にフィラリアの幼虫が入り、その後3~10日間で幼虫は脱皮して一回り大きくなります。
この大きくなった幼虫は移行幼虫といいます。
移行幼虫はフィラリア予防薬で100%駆除できますが、移行幼虫は50~70日程で脱皮してさらに大きくなります。
大きくなると薬が十分に効かなくなってしまうので、大きくなる前に薬の投与が必要です。
蚊の出る時期は地域によって多少異なりますが、4月~11月の8カ月間でフィラリア予防薬の投与はフィラリア幼虫が大きくならない5月~12か月の8カ月で毎月1回薬を投与する必要があります。
薬の投与開始から、月に1回定期的に投与し続けることで、フィラリアの幼虫が大きくなる前に駆除ができます。
フィラリア予防で絶対にやってはいけない事は、涼しくなってきたからと自己判断で投薬を終了させてしまうことです。
自己判断で投薬を止めてしまい、その年に続けてきたフィラリア予防がむだになることがあるので、地域の気温などを考慮して獣医師と相談して投薬期間を決めるのが一般的です。
3.犬のフィラリア予防薬の種類
フィラリア予防薬といっても、種類がいろいろあります。
愛犬の性格や体質・生活習慣に合わせて選びましょう。
錠剤
フィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)を駆除する、シンプルな錠剤です。
比較的安値で、食物アレルギーや皮膚がデリケートな犬にも安心です。
フードやおやつに包んで与えたり、喉の奥に押し込んだりして飲ませるため、味覚が繊細で薬を吐き出してしまう犬には投薬が難しいです。
チュアブル錠
薬剤を練り込ませたおやつ状の製品なので、食べることが大好きな犬にはぴったりの薬です。
食物アレルギーのある場合は、かかりつけの獣医師と相談して決めましょう。
滴下薬(スポットタイプ)
駆除成分が入った液体を、首の後ろに塗布するタイプです。
錠剤やおやつを受け付けない犬や、食物アレルギーがある犬にも使用できます。
皮膚から吸収するため、一定期間が経ってからシャンプーができるようになります。
触れられるのが苦手など、塗布が難しいことがあります。
注射
病院で皮下注射で予防します。
効果は12か月間あるものもあるので、1年に1回の注射で済みます。
薬の投与忘れの心配がなく、確実に予防ができます。
4.犬のフィラリアの事前検査
フィラリア予防薬は、幼虫を駆除する薬です。
幼虫なら安全に駆除ができますが、すでに成虫が寄生していると薬でショック反応を起こして、命に関わる危険があります。
フィラリア陽性の場合予防薬を使用すると、体内のフィラリアが一気に死滅しショック反応を起こしてしまいます。
そのため予防薬を投与する前に、フィラリアの感染がないかの確認を行います。
5.まとめ
愛犬をフィラリア症から守ってあげられるのは、飼い主さんだけです。
蚊がでる季節には、必ず獣医師と相談して投与の期間と種類を決めて投与してください。
また投与した後に吐き出してしまった場合は、投与から吐き出した時間を獣医師に伝え、もう1度投与するか・追加分の薬が必要かなどを確認してください。
犬のワクチン接種も参考にしてください