猫の身体は、体力を消耗しにくい体質です。
子猫のときはよく動きますが、歳と共にのんびりし、動かなくて済むならあまり動きたくないという猫も多いです。
冬の前には、本能的に冬の寒さに備えて脂肪を蓄えますが、家の中の猫は厳しい自然環境にないので、体力を使うことがありません。
猫はもともと太りやすい動物ですで、猫のダイエットはとても難しいのです。
そもそも猫にダイエットは必要なのでしょうか。
1. 猫の肥満判断基準
猫の種類・個体差があるため、何kgが基準とは言えませんが、体型が適正かを判断するBCS(ボディ・コンディション・スコア)で判断します。
BCSとは、肋骨・腰部・腹部の状態を見た目と触って状態を判断します。
1-1. BCS1(やせすぎ)
肋骨・背骨・要骨のラインが浮き出て、横から見ると腹部はすごく窪み、上から見ると腰がくびれている。
尻尾の付け根が区別できる。
*理想の体重の85%以下、体脂肪率5%以下
1-2. BCS2(体重不足)
わずかな脂肪はありますが、肋骨・腰骨が容易に触れることができる。
腹部の脂肪もごくわずかで、横から見るとお腹が窪んでいる。
*理想体重の86~94%、体脂肪率6~14%)
1-3. BCS3(理想的体重)
わずかな皮下脂肪を通して、肋骨・骨格が触れることができる。
腰には適度なくびれが見える。
*理想体重の95~106%、体脂肪率15~24%
1-4. BCS4(体重過剰)
皮下脂肪に覆われ、肋骨に触れることが難しい。
骨格はかろうじて触れることができる。
腰のくびれはなく、上から見ると背中が横広がりにみえる。
*理想体重の107~122%、体脂肪率25~34%
1-5. BCS5(肥満)
厚い皮下脂肪に覆われていて、肋骨に触れない。
尻尾の付け根が脂肪でわからず、横から見るとお腹が垂れ下がっている。
上から見ると樽の形に見える。
*理想体重の123~146%、体脂肪率35%以上
猫の体重を測るのに1番簡単に測れるのは、飼い主が猫を抱えて体重計に乗り、飼い主の体重を引くというのが測りやすいですが、これは細かい単位が測れない場合があります。
細かい体重を測るのであれば、ペット用もしくはベビースケールなどで体重を測った方が良いでしょう。
2. 猫のダイエットのために
猫にダイエットなんて必要でしょうか?
猫はプクプクしていた方が可愛い・触り心地が良いなんて思いますが、人間でも猫でも肥満にはリスクが伴います。
2-1.猫の肥満によるリスク
・心臓や血管への負担(心肥大・心不全・高血圧)
・体重が増えることで間接に負担(関節炎・椎間板ヘルニア・靭帯断裂)
・肥満になるとインシュリンというホルモンへの反応が低下(糖尿病)
・便秘になりやすくなったり、腫瘍ができやすくなるとも言われます。
2-2.猫のダイエットを始めるには
・肥満によるリスクを家族全員で認識し、家族の誰かが「実はおやつをあげていた」などということがないようにする。
・目標体重を設定し、半年~1年をかける
*月単位の中間目標を決めることも大切です。
2-3.猫の肥満の原因
BCSや獣医師からダイエットが必要と判断されたなら、まず何が原因になっているのか考えましょう。
食事の量が多いのか、運動不足が原因になっているか、猫の生活環境や生活リズムを見直すことも大切です。
3. 猫のダイエットのやり方
3-1食事の見直し
食べているフードのカロリー・繊維・脂肪の量を確認してみましょう。
猫は急激にフードの量を減らしたダイエットをすると、「肝リピドーシス」という病気になる場合があります。
*「肝リピドーシス」とは、肝機能を低下させる脂肪が肝臓に危険なほど蓄積してしまいます。そのため肝臓が正常に機能しなくなり、特に猫は食欲不振が長期化すると大変危険です。
食事に量を減らすのではなく、「低脂肪・高繊維」そして栄養バランスの良い食事を選びます。
多くのフード会社から、減量用の療法食が発売されています。
獣医師の管理のもと効果的に、ダイエットを行うことも良い方法です。
3-2.食事の量
成長期には体重1kg当たり約80kcalが必要ですが、成長期を過ぎた猫は2割減で大丈夫です。
「低脂肪・高繊維」のフードで決められた分量を1日に数回に分け、1度に食べる量を制限すると、エネルギーの消費が大きくなりダイエットがしやすい身体になります。
*お留守番の多い猫には、タイマー付きの自動のご飯容器が良いでしょう。
ダイエットは、1週間で体重の1~1.5%程度減らしていくのが理想です
現在猫に必要な摂取カロリーから、約20~30%ほど減らし、1週間に約1%の体重減がみられたら、さらにもう10%減らしてみましょう。
*フード以外のおやつは与えてはいけません。
もし食べ残したら、30分程度で片付けてしまいましょう。
新鮮な水はいつでも飲めるように用意してあげてください。
3-3.運動によるダイエット
上下運動が1番効果的です。
キャットツリーなどで、おもちゃで上に誘導し、下に誘導しながら1回15分程度を1日2~3回の全身運動をさせると効果的です。
*関節・高齢・循環器系に異常がない猫が対象です。
4. まとめ
太った猫が3日間食べないと、肝脂肪になるといわれます。
無理なダイエットはせず、長い目でダイエットを心がけてください。
猫は気持ちが乗らないと動いてはくれません。
飼い主さんと遊ぶ感覚で、1粒ずつフードを投げて、狩の本能を刺激して楽しく食事をするのも1つの方法です。
愛猫が健康で長く一緒に過ごせるといいですね。
“猫の太りすぎに注意・ダイエットで太りすぎのリスクをなくそう” への1件の返信