愛犬と過ごすうえに、子犬のときの夜鳴きから老犬の夜鳴き・遠吠えで寝不足になって困っている飼い主も多いと思います。
しかし、夜泣き・遠吠えにはそれぞれの原因があります。
愛犬が夜鳴き・遠吠えをする原因を考え、不安な気持ちを取り除いてあげましょう。
1.犬の遠吠えの原因
犬の祖先であるオオカミは群れをつくり、狩りに行くときに声かけで遠吠えをするといわれます。
1-1.サイレンに反応
サイレンの音は、犬の遠吠えに周波数が近いといわれます。
遠くに通るパトカー・救急車・消防車のサイレン音を仲間の声と勘違いし、遠吠えしてしまう犬もいます。
雷にも反応する犬もいます。これは犬の野性的な本能に関係し、雷が鳴ることで生命の危険を察知しているのが原因だと考えられます。
1-2.犬同士のコミュニケーション
近所の犬が遠吠えをすると、我が家の愛犬も遠吠えしてしまうこともあります。
祖先のオオカミは群れで行動するため、遠く離れた場所でもコミュニケーションをとるのに遠吠えをします。
オオカミを祖先にもつ犬も、遠吠えを利用しているようです。
1-3.不安や寂しさ
犬はもともと群れで生活している動物なので、ひとりでの長時間の留守番は得意ではありません。
不安や寂しさを紛らわせるために遠吠えをし、遠吠えが癖になることもあります。
にぎやかだった部屋が明かりが消え、静かになったことに対しての不安や寂しさによるものが多いようです。
1-4.ストレス発散
留守番の寂しさや、狭いゲージに長時間はいっていることによって、ストレスを遠吠えで発散させることもあります。
1-5.認知症
犬にも人間と同じように認知症があります。
シニア犬が何かの不安や寂しさに襲われたとき、遠吠えをしてしまうことがあります。
7~8歳以上のシニア犬で気になる症状が見られたら、獣医師に相談してみてください。
2.夜鳴きの原因
2-1.子犬
子犬の1日の睡眠時間は1日の大半の約20時間といわれます。
①子犬の夜鳴きの原因の1つは、「甘えたい」「寂しい」といった子犬の気持ちがあります。
子犬の状態で売られている・里親やブリーダーから子犬を引き取った場合、環境に慣れるまで夜鳴きが続くことがよくあります。
②おなかが空いて眠ることができず、夜鳴きをすることがあります。
子犬は体が小さいため、胃も小さいです。
多くの量のごはんを1度に食べることはできません。
寝る前の早い時間で食事をさせてしまい、夜中におなかが空いて夜鳴きをすることがあります。
*子犬は環境によっての原因が多いので、夜なのにゆっくり寝ることができない環境に置かれている場合があります。
寝る環境を見直してあげてください。
2-2.成犬
成犬の1日の睡眠時間は10.6時間
(1~6歳ごろまでは12時間~15時間)といわれます。
①子犬より大きく成長した成犬は、夜鳴きをすることは少ないです。
②昼間の間に体力をあまり使わず、体力が有り余っている。
③飼い主とのスキンシップが足りず、遊び足りないという欲求不満がある。
④環境への警戒、家の外での変化(知らない人がいる・家の周囲で工事が始まった)などが夜鳴きの原因だと思われます。
2-3.老犬
ごはんとトイレ以外は、ほとんど寝ていると感じるくらいの睡眠時間
①夜鳴きをする犬が老犬といわれる域の年齢ならば、とくに原因はありません。
老犬の場合はとくに原因もなく、夜鳴きを続ける場合があります。
②加齢による視覚や聴覚の衰えで、周囲の環境の把握が難しくなり不安に感じているか、警戒から飼い主にかまってほしくて 夜鳴きする場合もあります。
③寝たきりになると生活リズムがつかめず、体内時計のずれで昼間のつもりで夜鳴きになってしまう場合もあります。
3.犬の夜鳴き・遠吠えの対処法
3-1.一緒にいる
飼い主とのスキンシップ不足のときも、犬は夜鳴きをします。
できる限り、愛犬と一緒にいる時間を増やすことも大事です。
愛犬のブラッシングなどをしながら、愛犬が満足できるようにしましょう。
3-2.一緒に寝る
犬の夜鳴きは寂しさや甘えたい、老犬は不安感から鳴く場合もあります。
飼い主と一緒に寝ることで、安心感をあたえてあげるのもよいでしょう。
3-3.昼間に遊ばせる
犬は体を動かす、活動的な動物です。
昼間にあまり体を動かさないと、運動不足で夜鳴きをすることがあります。
昼間に散歩をしっかりさせてあげたり、一緒に遊んだりしましょう。
3-4.遠吠えは無視
犬が夜中に吠えるのは、家の周りの環境への警戒・飼い主の注意をひきたい・遊んでほしいなどあります。
遠吠えをすれば、飼い主にかまってもらえると思わせないように、徹底的に無視しましよう。
3-5.落ち着けるスペースをつくる
愛犬も眠りたいのにうるさくて落ち着けなくて、夜鳴きをするということもあります。
落ち着いて眠れるスペースを作ってあげましょう。
3-6.ほかの音で注意をそらす
しつけのときに吠えると、犬の嫌いな匂いをスプレーすることがあります。
夜鳴きにも遠吠えをはじめたら、犬にかからない位置でスプレーをして、遠吠えしたら嫌いな匂いがするものだと覚えさせるのもいいでしょう。
ただ、犬がスプレーに慣れてしまわないように、「ここだ!」という場面でやってみましょう。
また、静かな音楽を流して犬の注意をそらし、鳴きださないようにするのもよいでしょう。
3-7.行動を観察する
何をしても改善しないときは、日ごろの愛犬の行動を観察してみましょう。
もしかして病気や怪我をしている場合もあります。
犬の体に異変が起こってはいないか観察しましょう。
*老犬の場合、鳴くことで体力を消耗することがあるので、獣医師に相談するのもよい方法です。
4.ゲージで対処
夜鳴きの対処で、まず一番環境を変えるのに簡単なのがゲージです。
4-1.ペットサークスカバー
ゲージに防音効果のあるカバーをかけてみましょう。
ゲージのサイズに合ったカバーは、犬もリラックスして眠れるようになる場合も多いでしょう。
ゲージカバーは防音効果のほかに、冬は防寒対策・夏はカバーによって防蚊効果があり、風通しの良いカバーもあります。
季節・用途によって、カバーを変えて楽しみながら選ぶのもよいでしょう。
4-2.防音室
値段が高いですが、防音室で1番声がおさえられます。
愛犬の年齢やしつけの用途によって、しっかりと選びましょう。
4-3.木の小屋
普通のゲージより天然木の、すのこの簡単に作れる犬小屋で、周りをすのこで囲まれているのため周囲が見えず、リラックスしてくれるようです。
夜ひとりでゲージに寝ているようでしたら、少し環境を変えてあげるのもよいでしょう。
5.まとめ
愛犬の夜鳴きは家族や近所にも迷惑がかかるので、本当にどうしていいのか悩みます。
子犬や成犬の場合は、環境やしつけの面から改善できますが、老犬の場合はそういうわけにはいきません。
しかったり、怒ったりせずに安心感をあげてください。
私の愛犬も、老いと病気のせいで夜鳴きをしていました。
よく夜中に抱えて、どうしていいのか分からずに、暗闇の中抱きかかえて私自身も泣いていました。
獣医師に相談したところ、体全身で力を込めて鳴いているので、体力がなくなってしまうとのことでした。
睡眠導入剤は抵抗があったのですが、獣医師に睡眠導入剤で体の心配をするより、鳴いていて体力が持たないといわれ、睡眠導入剤を飲ませました。
昼間はなるべく声掛けをしたり、体を触ったりしながら起きてもらって、夜に睡眠導入剤を飲ませると夜鳴きが収まり、静かに眠ってくれるようになりました。
愛犬が鳴くには何か理由があると思います。
環境を整えてあげたりしても夜鳴き・遠吠えが続くようでしたら、獣医師に相談して改善するところがあれば改善してあげてください。