猫を飼っていると「猫風邪」という言葉を聞きます。
風邪ではなく、頭に猫がついて「猫風邪」とは普通の風邪とは違うのでしょうか?
猫風邪は人間の風邪とは違って、何か特殊な風邪なのでしょうか?
1.猫風邪とは
猫風邪とはウイルスや細菌から感染します。
風邪にはいろいろありますが、「猫風邪」の代表的なのは「猫ウイルス性鼻気管炎」と「猫カリシウイルス感染症」があります。
1-1.猫ウイルス性鼻気管炎
ヘルペスウイルス科に属する猫ヘルペスウイルスⅠ型(FHV-1)を原因とする上部呼吸器感染症。
ウイルスは涼しいところを好み、外気に触れて比較的体温の低い目・鼻・口などに症状が出るのが特徴
「猫風邪」「猫インフルエンザ」「猫コリーザ」とも呼ばれます。
1-2.猫カリシウイルス感染症
猫カリシウイルス(feline calicivirus : FCV)が引き起こす感染症。
ウイルスの感染力が強いので、1匹がかかると「あっと」いう間に他の猫にも感染してしまいます。
「猫風邪」「猫インフルエンザ」とも呼ばれます。
2.猫風邪の症状
2-1.猫ウイルス鼻気管炎(猫ヘルペス)
冬の寒く乾燥する時期に感染しやすいウイルスです。
猫ウイルス性鼻気管炎(猫ヘルペス)は、猫カリシウイルス感染症と混合感染することが多く、猫カリシウイルス感染症を併発した場合は、「ウイルス性呼吸器感染症」と呼ぶこともあります。
母猫からの移行抗体がなくなる生後2~3か月の子猫・免疫力が下がっている猫への感染が多いです。
・食欲不振
・くしゃみ
・咳
・鼻水
・鼻の穴近くのヘルペス性皮膚炎
・口内炎
・発熱
・角膜炎、結膜炎
・涙
・目やに
猫ウイルス性鼻気管炎は、2~10日の潜伏期間があり症状がでます。
子猫や老猫などの免疫力の弱い猫は、肺炎を併発することもあります。
2-2.猫カリシウイルス感染症(FCV)
母猫から受け継いだ免疫力が弱まる生後2~3か月の子猫や、ワクチン未接種の猫などに多く、カリシウイルスはとても感染力の強いウイルスです。
乾燥した状況下では3~4週間生存することができ、免疫力の弱い猫や子猫は感染しやすいですが、健康的な猫にも感染します。健康的な猫に感染していても症状がでず、保菌状態(キャリア)になっている場合があります。
・舌の潰瘍
・よだれ
・くしゃみ
・鼻水
・発熱
・食欲不振
・肺炎
・多発性の関節炎
ウイルス感染した猫との接触感染。飼い主が外で感染した猫を触れたり、衣服にウイルスがついていると家の猫に感染させてしまう場合があります。
空気感染(くしゃみ)でも感染しますので、多頭飼いの家では「あっという間」に感染してしまいます。
風邪が治っても、カリシウイルス保菌状態(キャリア)になるので、他の猫に感染しないように獣医師とよく相談してください。
3.猫風邪の治療
猫風邪は人間の風邪のように、寝ていれば治るということはありません。
早期発見、早期治療が大切です。
3-1.猫ウイルス性鼻気管炎(猫ヘルペス)
一般的には
・点滴
・栄養補給
・抗生剤投与
その他に
・抗ウイルス薬
・L-リジン(ウイルス増殖抑制)
・インターフェロン投与
自宅では、高栄養な食事や室内の保湿に気を配り、脱水を防ぐため水分補給が必要です。
1度感染すると繰り返しなることが多いので、混合ワクチン接種などで重症化しないように予防することが大切です。
3-2.猫カリシウイルス感染症(FCV)
・点滴
・抗生剤投与
・インターフェロン投与
ウイルスを直接退治するのではなく、インターフェロンで免疫力を高めて治療します。
自宅では十分な栄養補給や湿度管理に気を配り、口腔内潰瘍がある場合は自力で食べ足れないので、シリンジなどを使って食べさせます。
猫カリシウイルス感染症は、混合ワクチンで体内に抗体を作っておくことが大切です。
4.まとめ
猫風邪は感染力が強いので、ほっておくと命にかかわることになってしまう恐れがあります。
毎日一緒に過ごす飼い主さんが、いつもと違うようすに気がついたら早急に獣医師に診てもらいましょう。
また日ごろから、ワクチン接種をしておくことも軽傷ですむ予防の1つです。
多頭飼いの猫は、接触や空気感染してしまうので獣医師の指示に従って、十分に注意をしてください。
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